駆動時間24時間のノート誕生か? 流出する未来技術

microititaro2005-03-22

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 ●駆動時間24時間のノート誕生か? 流出する未来技術


舞黒一太郎です。


 最近のノートPCにはCentrinoモバイル,テクノロジ(CMT)を採用しているものが多くなり,その駆動時間が従来では考えられない5時間程度持つものも珍しくなくありません。最高では9時間を標榜する製品も現れました。これなら車や,飛行機、新幹線の中でもDVD、TV、音楽鑑賞、メール、仕事が出来ることになり、ノート本来の、移動性のメリットを最大限生かすことが可能となります。


 この長時間駆動に貢献しているのは高性能モバイルCPUのおかげですが,電池そのものを改良し、大きさは今のものより小さいのに、寿命を2倍以上という、画期的技術をめざすベンチャー企業が現れました。この技術を進化させれば駆動時間が24時間(1日)以上のノートPCも可能です。


 その企業は滋賀のベンチャー、パイオニクス(滋賀県大津市)、佐田勉社長であり、「究極の2次電池実用化のメドがついた」からなのです。同社が開発しているのは、電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムポリマー電池です。それは携帯電話やノートパソコンに使われるリチウムイオン電池と比べ、電解質が液状でないので堅牢なパッケージにする必要がなく、軽量化、薄型化に適していたのですが、いかんせん駆動時間に問題がありました。


 パイオニクスは、電極材料を見直し、電解質を紙おむつに吸わせるような仕組みにして,既にリチウムイオンの1.5倍の持続時間を達成し、これにさらに改良を加えることにより2倍以上のものにするとしています。


 ところがこの無名のベンチャーの開発した国産技術に、米インテルがいち早く目を付け、昨年9月3日、同社に出資すると発表したのです。210万ドル(約2億5200万円)を提供し、同時に技術協力契約も結びました。


 インテルはこの技術を独占することにより、自社CPUとの併用で、1日中使えるノートパソコンを目指していると思われます。

 佐田社長は2002年の秋に試作品を手にベンチャーキャピタルを次々に訪ねたそうですが、まったく相手にされず、苛立ち始めた頃、噂を聞いたインテルの投資部門、インテルキャピタルから接触があったそうです。


 この話は今をときめく京都の日本電産が、町工場の試作品超小型モーターを世界のIBMに送り、採用されたことから大成功した話とよく似ています。日本では、すぐ社格、社歴うんぬんを言い、なかなか聞く耳を持ちませんが、海外企業の場合、むしろ積極的に話を聞かしてもらうと言う点が全く違います。


 日本にとって一番大切な「技術」を理解し、支援出来る、政治家、役人、金融人、企業人を育成することが急務です。前に述べたITインフラのDDIを外資に持って行かれたような愚を繰り返してはなりません。