フジテレビとライブドアの争い

microititaro2005-02-14

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

              目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911


舞黒一太郎です。


 ●虎の尾を踏んだのか? ライブドア


 読売新聞の渡辺氏が、ライブドアプロ野球進出にあくまで抵抗したのは、世に言われている「どこの馬の骨かわからない者に、プロ野球経営をさせるわけにはいかない」のではなく、ライブドアやヤフーなどが、読売新聞をはじめとするマスコミの既存の既得権益構造を破壊する可能性を誰よりも知っていたからです。


 今度は、ライブドアニッポン放送の大株主になりました。その結果、形の上では子会社的存在であったフジテレビをいたく刺激しました。堀江氏の本来の目的は放送と通信の壁を破り、さらなる飛躍をめざしたものと思われます。


 ニッポン放送が、より大きな企業規模のフジテレビを、大株主として支配するこの株式資本原則を、堀江貴文氏は見逃さなかったわけですが、そこには落とし穴が存在しています。つまりニッポン放送の支配権を35%の株式収得で完全に得たのではありますが、他にも25%収得の大株主が存在し、かつ株主トップ10位以内の会社持ち株が75%を越えると、議決権の消滅、同族会社と見なされ上場廃止になるという規律があるのです。


 上場廃止となればライブドアニッポン放送の買収に要した費用の約800億円が紙くずとなり、一転してライブドアは窮地に追い込まれます。フジテレビはニッポン放送株を12%強持った上でTOBを仕掛けており、この幹事証券が8%、関連取引銀行合計のものが10%強であることから、上場廃止に持ち込む条件の25%の株式収得は確実なのです。ライブドア側ではそれに対抗してニッポン放送の増資により対抗する模様で、ドロ試合が濃厚となりました。


 放送と通信という二つの業務は現在、公益性を守る立場から、国家により法的に厳しく区分され、監視されています。しかしNHK問題でも分かったように放送免許制という、自由国家では例を見ない報道規制を政府はおこなっています。
 また通信でも、総務省はヤフーの携帯電話使用周波数解放要求を、既得権保護と見られてもしようがない拒否をしました。
 このように日本のマスコミは、中立では存在し得ないようになっているのです。


 インターネット、インフラの発展により、もはや通信、放送の壁はなくなりつつあり、その区別は困難な状況になっています。新聞、TVはインターネットで代用可能、もしくはそれ以上の存在となってきています。


 堀江氏の肩をもつわけではありませんが、ニッポン放送を、自分の都合を理由に上場廃止、放送中止に追い込むというフジテレビの対応は、電波の公共性という原則を踏みにじる行為そのものです。


 現時点から将来を眺めるとき、外国のハゲタカ企業によるものではなかったことをよしとしましょう。もしアメリカの企業に買収されたのであったなら、アメリカべったりの政府は要求を飲まざるをえず、これを突破口として、国民世論を支配しているマスコミの、親米路線一色の一里塚となるはずでした。


 これを縁としてマスコミの新ビジネスモデルの模索を考えるといった姿勢がフジテレビ、ライブドアの当事者と各マスコミ、政府、国民に望まれます。

日本を立て直す 内閣顧問の選定

microititaro2005-02-13

           舞黒一太郎の優雅な電脳日記

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舞黒一太郎です。



●日本を立て直す 内閣顧問の選定 


 いよいよ「平成維新」と名付けられた改革はスタートした。最高顧問中丸源一郎は野党となった民自党の大物、元政調会長、上山義男を呼んだ。


 「上山君、君にこのたびの平成維新の産婆役の内閣顧問をお願いしたい。まだ総理は若く、実行力はあるが本当の実務、牙をむいた時の官僚の恐ろしさを知らない。どうか助けてやってくれ。この未曾有の国難に際しての平成維新は、官庁を中心に多くの犠牲者が出る。もはや不要な組織、制度であるものを、無茶な屁理屈をつけて延命、維持してきたツケの結末だ。今の彼等に直接の責任はないが、国の寄生虫化している。この簡素化で、本来使えるはずであった多くの財源が生まれるが、仕事に就ける人は少なくなる。それにより空前の官公労の争議が起きるだろう。またそれにアリのごとく喰いついている民間の寄生虫たちが乗り、ゼネストの可能性すらある。これを乗り切るのは宗像君の国民に対する説得いかんだが、治安維持のための警察の役割は極めて大きくなってくる。


 また我が国は貿易立国で生きるしかないが、高校生の十人に一人は性病にかかっており、その罹病率は世界一、コンビニにはエロ、暴力礼賛雑誌が堂々と売られており、インターネットや電話帳には出会い系サイトにあふれている、日本人海外観光には売春の話題がついて回る、という不道徳国家になっており、世界中から馬鹿にされている。これではいかなる改革を行おうと貿易立国は不可能だ。自由は大切だが、悪に対しては厳罰で臨まねばならない。厳しい罰則の立法と取り締まりの強化を果たさなくてはならない。これを果たすには、取り締まる役割の警察が、国民に支持されるものでなくてはならない。そのためには罰金を予算化したり、30兆円の国民的レジャー産業であるパチンコを喰いものにしたり、移動のたびに身分不相応の高額餞別をしている現在の警察の悪い部分を徹底的に大改革する必要があり、これは緊急を要する。またパチンコ換金の合法化をはかることにより、国民的レジャー産業としての後ろめたさを消し、その内のいくらかを財源とすることも可能だ。」



 元外務大臣、鶴田さやかも山中に呼ばれた。


「私は君のパワー、実力を誰よりも承知している。君が外務大臣であったときの無念さ、涙を見てきた。今度は君のたぐいまれなき力を、私を含め邁進した父君の国家土木インフラ整備事業を、反対に一時、または全面ストップしてもらいたい。今までの日本は財投主導によるインフラを積極的に整備をし、それが国家発展を生んできたが、今やそれが国家財政破綻の主要原因となっている。もちろん世界の情報戦争を勝ち抜くためのインターネットインフラ整備はより積極的に行うが、それ以外は原則的にすべてストップする。君も知っての通り、これは中央、地方を問わず、政治家の金のなる木、票の出る壺でもあった。しかし今はこれを続けていては平成維新は不可能だ。これをやりとげることが出来る人は私には君しか考えられない。この問題の総責任者をお願いしたい」



副総理、山中淳二は現職の長野県知事である佐藤寛夫を呼んだ。


 「佐藤君、私は君の長野での手腕を拝見し、総務関係、地方自治の全ての改革をおまかせしたい。市町村合併は合理化こそ真の目標なのに、合併すれば地方交付税の特典は10年そのままにするという現在のインチキ市町村合併政策はとりやめる。今の県知事の多くは官僚出身で、旧与党の支援を受けて当選しており、住民サイトに立った行政ではない。もはや国をたよりの箱物政策実施や、国民の税金を喰いものにして市町村の職員が生き残ることは許されない状況にある。国民への奉仕の観点からの市町村対策を実行してほしい。」



 評論家、村井良子も官邸に呼ばれた一人だった。副総理、山中淳二は言った。


 「村井さん、あなたの外交理論には敬白しています。これからの我が国は、対中国、朝鮮をはじめとするアジア外交、裸の王様である対米、したたかなヨーロッパと五分に渡り合っていかねばなりません。超大国ではなく、これからの日本の将来を作っていくためには強力な外交が必要です。そのためには無能で贅沢三昧の現外務官僚の総入れ替えをはかり、民間からも新たな人材を登用し、情報に強く、したたかな人材をもって再構築したいと考えます。これからの外交は単に表面的外交をやっているのではダメだ。そのためには国内、国外のありとあらゆること、特に経済に精通されておられる人でなくてはならない。ライスと五分に立ち向かえるのは貴方しかいない。内閣外交顧問に就任していただきたい」 



 M経営研究所の岩谷忠治は中丸に呼ばれた。


「君のOR(経営科学)学会当時の論文を拝見した。このたびの平成維新は国家財政の立て直しが柱であるが、そのためには、特に金融を中心とする膨大な量の計画の立案、修正、それを行った後の結果を迅速に予測、評価するシステムが必要だ。それを現在の政府で行う能力はない。君の提唱するものを実現すれば、リアルタイムでそれが可能だし、データーを意図的にごまかすことも出来なくなる。直ちにそのシステムを作成してほしい。」


「また君の(赤字企業が日本を支えている)という論文を読んだ。君の言うとおり、今の無責任銀行は決算表が赤字である赤字企業には見向きもしていない。赤字企業はデフレの進行とともに、唯一の財産である不動産の目減りが激しく、そのための担保不足が直撃し、借りるどころか追加担保まで要求され、そのため運転資金にもことかくようになってきている。


 赤字企業は企業の7割を占めているが利益が出ないため、消費税は払っているが、所得税を払っていない。だからといって潰せという今までの経済政策担当者、経済学者、金融関係者達は短絡的で間違っている。赤字企業は(膨大な人数の雇用を担っている)現実を見逃している。これらの人達が倒産によって失業者に変わるということを見逃してはならない。いいかえれば日本の雇用は赤字企業が支えていると言ってもよい。「赤字企業は社会の落ちこぼれ」これが社会の常識となっているが、赤字企業に勤めている人でも所得税はちゃんと払っている。私は君の指摘を真摯に受け止め、中小、零細企業の再生、活性化を計り、黒字化を推進したいと願う。それは雇用拡大と国家収益の改善に大きく寄与すると思うし、技術、貿易国家(日本)をキープする道だとも考えている。特にこの平成維新実行に際しては官を中心として大量の人が職を失うことが予想され、受け皿ずくりをなんとしてもしなくてはならない。しかし多くの大企業は中国などにアウトソーシングをし、日本人の求人増はほとんど見込めない。つまり中小、零細企業の活性化は急を要することなのだ。そのため君が作成した、瞬時に多くの企業経営計画が作成出来るノウハウを、すべての赤字企業に提供してほしい。」

日本を立て直す 総理大臣の17条

microititaro2005-01-30

           舞黒一太郎の優雅な電脳日記
               目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



舞黒一太郎です。


●日本を立て直す 総理大臣の17条 


 宗像内閣の顔ぶれは多くの曲折を経て決定した。与野党問わずの人選が行われ、民間人はそのうち4割を占めた。はじめての閣議のに際し、宗像は冒頭こう述べた。



 「皆さん、わが愛する国が瀕死の状態にあるのはご承知のとおりです。この内閣の使命はそれを立て直すことにあります。未曾有宇の状態でありますから、従来の手法はまったく役に立たないことを認識し、全ての面で根本的改革を行います。お隣の韓国ではIMF主導による改革が、ごく少数の職員により、わずか3年で成し遂げられ、再生されました。私はこれをアメリカ主導のIMFではなく、日本人自らの手で行いたいと考えています。期限目標は5年、もちろん早いにこしたことはありません。みなさんはその先兵です。みなさんの肩は、これからとんでもない重い荷物を抱えることになりますが、私はそれに絶えうる人材を選定したつもりです。頑張ってください。」


 「私のめざす所の第一点は、すでに戦後60年を経過しているにもかかわらず、パーキンソンの法則で指摘されたように未だ現存している、戦後非常対策を引きずっている、すべての役所、機構、規則の廃止です。これはすべて既得権益化しています。特に農業、建設、金融、医療、厚生、地方自治担当の方は心するように」


 「次に行わねばならないのは、官僚が民間を指導する「官主導」をやめることです。現在、民間の経済活動にさまざまな官の介入があり、何をするにもお伺いを立てないと動かないのが現実です。(「馬鹿でひ弱い国民」を、偉くて愛情にあふれた官が、こまごまと面倒見てやる)ことはやめねばなりません。官は偉くないし、国民は馬鹿でひ弱くありません。それを認識するだけで対策案は溢れるごとく出てくるはずです。」


 「三つ目は中央の地方支配をやめます。地方交付金の存在が中央が地方を支配する利権の温床となっており、財源移譲を完全に行った後、地方交付金は廃止します。プロジェクトが双方にまたがる場合は合議の上で対処するといったパートナーとなります。」


 「四つ目は民間で出来ることは一切やらない、おまかせするということです。余計なことをする余力はありません。独占によってのみ成立するというものは一切やめます。」


 「五つ目は不要、不急な公共事業はこの五年間、すべて一時停止または中止します。」


 「六つ目は、公務員の給与水準、待遇を世間のレベルと同レベルに是正します。」


 「七つめはインターネット技術の積極的導入による、国民へのサービス向上と、徹底的アウトソーシングによるコストダウンを計ります。インターネットの利点の一つに、通信コストが劇的に下がったことがあげられますが、我が国の多くの官公庁、金融機関、関連事業体は、それを国民に還元する意志がまったくありません。その背景には独占事業であったり、免許制という、競争者が簡単に参入出来ない事情があります。コストは劇的に下がっているのに、それにあぐらをかいており、既得権益化しています。これら意味のない特権は可能なかぎり廃止します。アメリカが立ち直った理由は、このIT技術を利用したグローバル化にあることを肝に銘ずべきです。」


 「八つめは国民、国の安全、利益を守る警察の改革をおこないます。(悪を許さない)の原則に戻り、現在のような罰金を収入源化して国民をはめるといった信頼を失うすべての行為をやめ、遊技業界の明瞭化、悪質刑罰の強化を行います。」


 「九つめは第二の国家予算である特別会計を食い荒らす外部団体の原則的廃止を行います。」


 「十番目は特別会計の資金運用を素人の官僚にまかせるのをやめ、プロに委託し、利益増大を計ります。年金赤字の最大理由である少子化傾向を防止するのは、諸対策を行ったとしても難しいと思われます。それであれば逆の発想でこの資金を積極的に増やす、という発想で進みたいと思います。」


 「十一番目は、医療改革です。医療総額のムダを排除するために重複診療、重複投薬をなくします。そのためにはまず受診票もカルテルもリセプト(診療報酬明細書)を全部電子化して、ICカード化します。かつ診療内容も精査し、効果のないムダな治療や、同じ効果なら安い薬を使うという、あたりまえのことを実行します。」


 「十二番目は国民の教育負担をダウンさせねばなりません。現在大学卒業までの一人あたりの費用は地方の方の場合、国立でも1900万、私立では2400万もかかっており、それに塾などの費用がさらに上乗せされます。これでは子供を持つ人と、持たない人の可処分所得がまったく違ってきます。まして子供が親を養わないという風潮が定着化し、老後の生活を見てもらうという、見返り期待で親が子を育てることの意味はもはやなくなっているのです。今のエリート育成、学歴偏重という、(非効率、無駄な勉強、組織、システム、雇用)を根本的に改革いたします。
 少子化の大きな原因の一つは、教育費が高すぎるからで、子供を産むと(子育てという楽しみ)に比べ、比較にならない(貧困原因)が襲ってくるからです。つまり子供を産まないのではなく、子供を産めない国になっていることを自覚せねばなりません。少子化で悩んでいる国の多くが、教育費の異常な高い国なのです。人材をブランドで選んでいては、グローバル化についていけないことは明白です。このためには、今の教育制度を根本から改め、国を先頭に、民間での人材採用にも実力、人物本位なものにする必要があります。」


 「十三番目は高速道路料金をメンテナンス代だけ徴収し、実質、無料化します。この実現がなされれば、産業の輸送コストが下がるだけにとどまらず、企業の工場や集配センター、国民の住宅は大都市でなくともよくなり、過疎への傾向一辺倒であった、地方の大活性化が期待されます。たとえば一般に通勤時間が30分なら恵まれた勤務先といえますが、高速道路で30分となれば、どれだけ恵まれた通勤エリアが広がることでしょう。」


 「十四番目は、我々だけでは決断出来ない時、国民の判断を仰ぐシステムを作るということです。今の議院内閣制では国民意志の反映が十分ではありません。議員は国民の命まで預かっているとは思えません。国民生活にきわめて重大な影響を及ぼす問題について、大いなる不満があっても、数年に1回あるだけの選挙でしか意思表示できないシステムは完全に時代遅れです。ITがこれだけ発達した現在、機動的な国民投票システムを構築することが必要です。」


 「十五番目は、徹底的な省エネ対策をおこないます。省エネを行う装置、システム、研究に補助を与え、コストダウンを計ると同時に、人類のため、子孫のための地球のクリーン化に取り組みます。」


 「十六番目は税制を変えます。今の複雑な税制を改め簡素化し、不公平のないものにします。(貧しからずを憂えず、等しからずを憂う)を忘れないように」


 「十七番目は公務員、準公務員は国民のためのサービス業であることを再確認し、今までの評判のわるかった、(働かざる者が喰いすぎ)ということを根絶します。


 いずれにせよ明治以来、いままでは、先進国に追いつけ追い越せがすべてでした。しかし先進国がすべてさまざまな問題を抱えている現在、盲目的に取り入れておれば間違いはないというモデルは少なくなっており、これからは自分で考えていかねばならなくなっていることを、改めて認識していただきたいと思います。
 国民はほとんど知りませんが、国の収入の半分が借金の元利払い、かつ残りの大半が人件費、これがわが国の現状です。これではではなにも出来ません。やっているのはすべて借金でやっているのです。ていねいに説明すれば小学生でもすぐわかるこの異常状態なのです。


 これ5年で立て直すには、通常のやりかたはまったく役に立たないことは明白です。方法論としてはお隣、韓国で行われたIMFのお手本がありますので、早急に研究、プランを立てていただきたい。よろしくお願いします。」

日本を立て直す 内閣閣僚選考の条件

microititaro2005-01-27

       舞黒一太郎の優雅な電脳日記

         目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911


 舞黒一太郎です。


●日本を立て直す 内閣閣僚選考の条件


 宗像治郎の選挙公約は、「官の構造改革」を柱に据え、国を立て直す「ニュー
デール政策」、この改革を成すための「利害を超え、国のために汗を流す挙国体
制による政府ずくり」、「内閣で判断出来ないことは国民に問う」ことであった。


 宗像は副総理に山中淳二を、内閣最高顧問に中丸源一郎を指名した。


 山中は内閣名簿作成にあたり、与党となった民自党と、選挙協力した自在党幹
部を呼び、言い放った。


「皆さん、選挙では大変お世話になりました。おかげで選挙で勝つことが出来ま
した。しかしその結果、我々はとんでもないことに責任を持たねばならなくなっ
た。というのは通常であれば大臣ポストは、選挙での働きに応じた毀誉褒貶とい
うことになるが、今度選ばれる大臣は、既存の体制を破壊する役目を担っている
ことから、徹底的な憎まれ役になるということを覚悟する必要がある。利益団体
の応援で選挙に勝った方は、指示母体から総スカンをくい、次期は落選するかも
しれない。それがまずいと思われる方は、総理から話があっても、最初から断ら
れるほうがよいと思う。我々の味方は、我々の公約を信じて選んで頂いた国民だ
けだ、あとは最初は全て敵になるくらいに思ってちょうどいい。しかしこれの改
革を断行しなければ明日の日本はない、という覚悟をしてもらいたい。」


 内閣スタッフ候補者は、中丸、山中、宗像により、すでに官民問わず500名
以上がリストアップされていた。いよいよスタッフ選考はスタートした。



 「西村さん、あなたは二世議員ですね。だいたい二世議員は親の築いたものを
そのまま利用しており、人的にも経済的にも苦労をしていない。だから貧しい人
達の苦しみ、悲しみが本当に理解出来ないというハンデイがあるのはあわかりで
すか。」西村は親から地盤を引き継いで以来、このような侮辱を受けたのははじ
めてであった。
「そんなことはありません。十分理解しているつもりです」
「それならばいいが。しかし貴方のような二世議員であったり、生まれながらの
お金持ちのぼっちゃんであったりという、勝ち組しか経験がないというのは、こ
れからの政治家にとって、きわめて不利であることを、十分認識なさってくださ
い。他に犠牲を強いる改革者は、どちらかというと、質素でつつましやかな日常
生活をされている方が望ましいのです。」


 「二宮さん、あなたはお医者さんで、特定権益団体から相当額の献金を受けて
いますね。国民の医療費は天文学的になっており、無駄なものを削ることは急務
ですが、その団体の不利になる政策を行わねばならなくなった時、憎まれ役がで
きますか」


 「篠田さん、あなたは官公労出身だ。もし官の改革で、機構の整理が本格化す
れば、当然ゼネストなどの大争議が起こることが想定される。あなたはそれに体
を張って、立ち向かえる覚悟がおありですか」


 「村山さん、あなたは宗教団体がバックの人だ。信教の内容に立ち入る気はな
いが、税の公平をはからなくてはならない。それを説き伏せる勇気がおありです
か」


 「三城田さん、あなたは民間会社のトップだ。だが我が国のユビキタス改革を
行うには、あなたの力がどうしても必要だ。あなたの力を今度は国に貸して欲し
い。無理は承知の上、それも片手間じゃなく、全力でだ。考えてもらえないだろ
うか」


 スタッフ候補は次々に呼ばれ、新しい「いばらの仕事」への覚悟を問われた。
各自、スタッフ候補に選ばれた最初の喜びは一瞬に吹き飛び、ほとんどが苦虫を
噛み潰したかのような顔で退席した。

日本を立て直す 2005年 秋の嵐

microititaro2005-01-26

         舞黒一太郎の優雅な電脳日記
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  舞黒一太郎です。


 ●日本を立て直す 2005年 秋の嵐


 元首相、中丸源一郎は日本の将来を深く憂えていた。


 戦後60年もたち、平和な時代が続いているにもかかわらず、日本は1000
兆円もの巨額の借金を作り、さらにその後始末を国民に振りはじめている。そし
て民主主義の原点である憲法すら自ら有利こ変えようとしている。このままでは
わが国の将来はない。


 人気パフォーマンスばかりで中味のない現首相スタッフ、既得権益を守ること
に汲々としている自党の議員連中、官僚、公務員、それに群がっている企業、す
べての奴らが国を食いものにしている。これを改めるには一度すべてを壊し、一
からやり直さなければならない、


 極端な少子化が進み、すべてが先細りする前の今こそ、本当にニューデイール
をやらねば日本の明日はない。この未曾有の状態を打破するには、すべての政党
の枠をはずし、広く日本中から有能な士を選び、実行できる挙国一致政権を作る
必要がある。


 中丸は野党、民自党副代表の山中淳二と密かに会った。山中は以前政権政党
ある自在党で幹事長まで務めた男である。当時は利害がからみ、けっして好きな
タイプではなかったが、その実力は確かであった。


 中丸は自分の思いのたけを山中に正直に打ち明けた。だか山中も同じことを考
えていたのだ。「中丸さん、私も全く同感だ。私にはなんの野望もない。しかし
国を想う気持ちは誰にも負けない自信がある。私の党にもタイプは違うが既得権
益を守る族議員が大勢いる。国を立て直すにはまずこういった連中を排した、政
権を作る必要がある。そして有能で、人の痛みの分かる、質素な人を集め、この
未曾有の国難を克服しなければならない。」
 二人は肝胆相照らし、新政権樹立を誓い合った。


 二人の取った作戦は巧妙を極めた。その骨子は、与党、自在党の冷や飯を食っ
ている大物の取り込みをはかり、インターネット選挙の合法化することであった。
 インターネット選挙を導入すると、金のかからない選挙が可能となり、投票率
がはねあがるため、民意の反映がより明瞭になる。もちろん従来の選挙と併用す
る。この結果投票数が増えるため、宗教団体や労働組合、会社、特定団体などの
組織力の影響が小さくなるため、既得権益を守りたい現体制では導入不可であっ
たものだ。

 
 工作は順調に進んだ。というのは現体制に協力はしていても、内心、中丸、山
中達と同じ思いをしている者が大勢いたからだ。


 思いもかけず、2005年秋、ついにその時は訪れた。野党民自党から、「イ
ンターネット選挙」法案が国会に提出された。当然与党の反対で否決される予定
であったが、連立与党の本丸、自在党から思いもかけぬ大量の造反者が出て、法
案は成立してしまった。すかさず民自党は首相の不信任案をも提出した。驚いた
首相が事情を調べる間もなく、この不信任案も成立してしまった。首相のうつろ
な声が響く。「何故だ、何故なんだ」


 国会は解散され、選挙が行われた結果、民自党が第一党となり、党首、宗像治
郎が内閣総理大臣に選出された。

銀行の手数料はなぜ高い

microititaro2005-01-25

        舞黒一太郎の優雅な電脳日記
         目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 舞黒一太郎です。


●銀行の手数料はなぜ高い


  インターネットの利点の一つに、通信コストが劇的に下がったことがあげられ
ます。にもかかわらず我が国の多くの官公庁、金融機関、関連事業体は、それを
消費者に還元する意志がまったくないようです。その背景には独占事業であった
り、免許制という、競争者が簡単に参入出来ない事情があります。コストは劇的
に下がっているのに、それにあぐらをかいており、既得権益化しています。実質
的には金融機関のドル箱です。



 銀行の窓口での(1件あたり)電信振込送金手数料の一般的なものは、以下の
ようなものです。


3万円未満 同一店舗内 210円
店舗間 315円
他金融機関 630円
3万円以上 同一店舗内 315円
店舗間 525円
他金融機関 840円


インターネットの通信コストは1円もかかりませんので、さまざまな経費を考え
ても、50円も取れば十分利益が出るはずです。


 ではなぜこのようにべらぼうな送金手数料を設定しているのでしょうか。その
最大理由は(過去、通信インフラ作成に膨大な投資がかかっており、その費用が
含まれているから)ということです。


 一見この論理はすじが通っているように思えますが、完全に間違っています。
それを飲食店経営希望のAさんが、既存の店舗を買う話で検証してみましょう。


 売り手のオーナーBさんはこの店舗には金を4000万かけており、売り希望金額
は2000万円と言います。Aさんが見ても結構立派な設備です。手に入れても追加
投資はほとんどいりそうにありません。Bさんの言う売上もまずまずで、Aさん
の持っているノウハウを導入すれば、さらなる上乗せも可能と思われます。Aさ
んの心は動きました。


 ところが慎重なAさんは、Bさんの取引先からの情報収集、信用調査などを行
い、Bさんの言うところの売上は実際の6割しかないことが判明しました。これ
ではやっていけません。やっても赤字の店など、いくら資本が4000万かかってい
ようと、タダであっても、逆にお金をもらってもやってはいけない店なのです。


 しかしAさんは自分のノウハウを入れれば黒字化する自信がありました。そこ
でBさんとの交渉にはこう言いました、「少しでも元を取り返したいBさんのお
気持ちはわかりますが、今の状態ではとても経営が成り立たないのはおわかりに
なっておられるでしょう。したがって私はタダでもいらない状態です。しかし私
のもつノウハウを注ぎ込めば、なんとかやっていけるかもしれません。しかしそ
れには資金がかかります。申し訳ありませんが、今、私があなたに提示できる金
額は300万までです。ご不満でしょうが、その条件でなければ、この件から降りさ
せて頂きます。」   結果的この取引は成立しました。



 つまり(いくら資金を投入したものであろうと、そんなものは関係なく、今の
価値が問題である)という事実の認識をすることなのです。


 金融機関のみならず、アウトソーシングと個人のインターネット化は急激に進
んでいます。もう手の内はバレバレなのです。新しい状況に適した体制ずくりが
必要です。


 

日本はどうなるのでしょう

microititaro2005-01-22

  舞黒一太郎の優雅な電脳日記

         目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911




 舞黒一太郎です。


 「日本はどうなるのでしょう?」との疑問は、程度の差はあれ、誰もが抱いて
いると思われます。日本の借金は戦後60年も戦争がないにもかかわらず、10
00兆円にも達し、国債の残高も538兆円という巨大なもになっています。こ
の額は、無策の小泉政権下、改革の言葉とはうらはらに、加速度的に増え続いて
います。


 私は以前「環境税導入で思うこと」の中で、国家税収44兆円の12%を越え
ている石油税収が、「国家による詐欺的行為により成り立っている」と指摘しま
した。
 これは1957年に成立した特措法を根拠にした、1974年の石油ショック
時に、財源不足を補う目的で「2年間の暫定措置として」出された取り決めの約
束を勝手に破り、現在まで継続している現実があるからです。その結果、たとえ
ばガソリン1リットルあたり28円の税が53円と、ほぼ倍増され世界一高い値
段となっています。このおいしさに味を占めた国は、オイルショック後になって
も、元に戻すことは二度とありませんでした。


 これと同じことが国債発行でおこなわれています。戦後、日本が最初に国債
発行したのは1965年です。それまでの日本の財政は借金なしでやってきたの
ですが、当時としては未曾有の不況に見舞われ、予想した税収が集まらなかった
ため歳入欠陥が発生し、やむをえず2000億円の国債を発行したのです。しか
しこれはあくまで一時的な措置だったのですが、これが禁断の途に踏み込むきっ
かけとなってしまいました。


 一度贅沢を覚え、借金のうまみを知った政府は、やがて毎年のように国債を発
行して不足する財政資金を賄うことが当たり前となっていきました。財政法では、
基本的に国債の発行で財政を運用することを禁止しているのにもかかわらずです。


 本来、公共事業以外には国債を発行してはいけないのですが、単年度で収支を
合わせる必要があったため、制度をねじまげて「特例国債」という法律でいわゆ
る「赤字国債」を発行しはじめました。その年に限ってという措置ですが、麻薬
同様、「特例」も1回で終わりませんでした。


 歳入欠陥で始まった国債発行が、やがて公共事業の財源と化し、いまや国債
政府の打ち出の小づちになっています。


 しかしこんな馬鹿なこと、しょせんは政府補償とはいえ紙切れ一枚であること
に代りはなく、江戸時代に多発され失敗に終わった藩札のごとく、ハイパーイン
フレに陥ることは明白です。



 これを解消する方法は一つしかありません。今すぐ赤字事業、特に戦後60年
たっているにもかかわらず残存している、全て不必要事業を廃止し、国債発行ゼ
ロに見合う組織に改革します。まずはプライマリーバランスという悠長な段階で
はありません。その対策には赤字減少対策も含めますので、より厳しいものにな
ることでしょう。しかしこの実施には国家、地方公務員の大幅整理が必須になっ
てきます。


 それを今すぐ行わなければ、「死」があるところまで追いつめられていること
を認識せねばなりません。ものわかりのよい、マスコミ、有識者の言う「国も苦
しいのだから国民も協力するべきだ。応分の負担はしょうがない」という言に惑
わされてはなりません。その風潮に押され、消費税増税など既に当然視されてお
りますが、癌の元を切らないでおこなう増税など、どこに使われるかわかったも
のではないのです。


 それをなのに麻薬患者に、自分で自ら治す方法を聞く愚かさを、今の政府、野
党、マスコミ、国民は演じ、時間を浪費しているのです。