日本を立て直す 内閣閣僚選考の条件

microititaro2005-01-27

       舞黒一太郎の優雅な電脳日記

         目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911


 舞黒一太郎です。


●日本を立て直す 内閣閣僚選考の条件


 宗像治郎の選挙公約は、「官の構造改革」を柱に据え、国を立て直す「ニュー
デール政策」、この改革を成すための「利害を超え、国のために汗を流す挙国体
制による政府ずくり」、「内閣で判断出来ないことは国民に問う」ことであった。


 宗像は副総理に山中淳二を、内閣最高顧問に中丸源一郎を指名した。


 山中は内閣名簿作成にあたり、与党となった民自党と、選挙協力した自在党幹
部を呼び、言い放った。


「皆さん、選挙では大変お世話になりました。おかげで選挙で勝つことが出来ま
した。しかしその結果、我々はとんでもないことに責任を持たねばならなくなっ
た。というのは通常であれば大臣ポストは、選挙での働きに応じた毀誉褒貶とい
うことになるが、今度選ばれる大臣は、既存の体制を破壊する役目を担っている
ことから、徹底的な憎まれ役になるということを覚悟する必要がある。利益団体
の応援で選挙に勝った方は、指示母体から総スカンをくい、次期は落選するかも
しれない。それがまずいと思われる方は、総理から話があっても、最初から断ら
れるほうがよいと思う。我々の味方は、我々の公約を信じて選んで頂いた国民だ
けだ、あとは最初は全て敵になるくらいに思ってちょうどいい。しかしこれの改
革を断行しなければ明日の日本はない、という覚悟をしてもらいたい。」


 内閣スタッフ候補者は、中丸、山中、宗像により、すでに官民問わず500名
以上がリストアップされていた。いよいよスタッフ選考はスタートした。



 「西村さん、あなたは二世議員ですね。だいたい二世議員は親の築いたものを
そのまま利用しており、人的にも経済的にも苦労をしていない。だから貧しい人
達の苦しみ、悲しみが本当に理解出来ないというハンデイがあるのはあわかりで
すか。」西村は親から地盤を引き継いで以来、このような侮辱を受けたのははじ
めてであった。
「そんなことはありません。十分理解しているつもりです」
「それならばいいが。しかし貴方のような二世議員であったり、生まれながらの
お金持ちのぼっちゃんであったりという、勝ち組しか経験がないというのは、こ
れからの政治家にとって、きわめて不利であることを、十分認識なさってくださ
い。他に犠牲を強いる改革者は、どちらかというと、質素でつつましやかな日常
生活をされている方が望ましいのです。」


 「二宮さん、あなたはお医者さんで、特定権益団体から相当額の献金を受けて
いますね。国民の医療費は天文学的になっており、無駄なものを削ることは急務
ですが、その団体の不利になる政策を行わねばならなくなった時、憎まれ役がで
きますか」


 「篠田さん、あなたは官公労出身だ。もし官の改革で、機構の整理が本格化す
れば、当然ゼネストなどの大争議が起こることが想定される。あなたはそれに体
を張って、立ち向かえる覚悟がおありですか」


 「村山さん、あなたは宗教団体がバックの人だ。信教の内容に立ち入る気はな
いが、税の公平をはからなくてはならない。それを説き伏せる勇気がおありです
か」


 「三城田さん、あなたは民間会社のトップだ。だが我が国のユビキタス改革を
行うには、あなたの力がどうしても必要だ。あなたの力を今度は国に貸して欲し
い。無理は承知の上、それも片手間じゃなく、全力でだ。考えてもらえないだろ
うか」


 スタッフ候補は次々に呼ばれ、新しい「いばらの仕事」への覚悟を問われた。
各自、スタッフ候補に選ばれた最初の喜びは一瞬に吹き飛び、ほとんどが苦虫を
噛み潰したかのような顔で退席した。