日本を立て直す 2005年 秋の嵐

microititaro2005-01-26

         舞黒一太郎の優雅な電脳日記
           目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911




  舞黒一太郎です。


 ●日本を立て直す 2005年 秋の嵐


 元首相、中丸源一郎は日本の将来を深く憂えていた。


 戦後60年もたち、平和な時代が続いているにもかかわらず、日本は1000
兆円もの巨額の借金を作り、さらにその後始末を国民に振りはじめている。そし
て民主主義の原点である憲法すら自ら有利こ変えようとしている。このままでは
わが国の将来はない。


 人気パフォーマンスばかりで中味のない現首相スタッフ、既得権益を守ること
に汲々としている自党の議員連中、官僚、公務員、それに群がっている企業、す
べての奴らが国を食いものにしている。これを改めるには一度すべてを壊し、一
からやり直さなければならない、


 極端な少子化が進み、すべてが先細りする前の今こそ、本当にニューデイール
をやらねば日本の明日はない。この未曾有の状態を打破するには、すべての政党
の枠をはずし、広く日本中から有能な士を選び、実行できる挙国一致政権を作る
必要がある。


 中丸は野党、民自党副代表の山中淳二と密かに会った。山中は以前政権政党
ある自在党で幹事長まで務めた男である。当時は利害がからみ、けっして好きな
タイプではなかったが、その実力は確かであった。


 中丸は自分の思いのたけを山中に正直に打ち明けた。だか山中も同じことを考
えていたのだ。「中丸さん、私も全く同感だ。私にはなんの野望もない。しかし
国を想う気持ちは誰にも負けない自信がある。私の党にもタイプは違うが既得権
益を守る族議員が大勢いる。国を立て直すにはまずこういった連中を排した、政
権を作る必要がある。そして有能で、人の痛みの分かる、質素な人を集め、この
未曾有の国難を克服しなければならない。」
 二人は肝胆相照らし、新政権樹立を誓い合った。


 二人の取った作戦は巧妙を極めた。その骨子は、与党、自在党の冷や飯を食っ
ている大物の取り込みをはかり、インターネット選挙の合法化することであった。
 インターネット選挙を導入すると、金のかからない選挙が可能となり、投票率
がはねあがるため、民意の反映がより明瞭になる。もちろん従来の選挙と併用す
る。この結果投票数が増えるため、宗教団体や労働組合、会社、特定団体などの
組織力の影響が小さくなるため、既得権益を守りたい現体制では導入不可であっ
たものだ。

 
 工作は順調に進んだ。というのは現体制に協力はしていても、内心、中丸、山
中達と同じ思いをしている者が大勢いたからだ。


 思いもかけず、2005年秋、ついにその時は訪れた。野党民自党から、「イ
ンターネット選挙」法案が国会に提出された。当然与党の反対で否決される予定
であったが、連立与党の本丸、自在党から思いもかけぬ大量の造反者が出て、法
案は成立してしまった。すかさず民自党は首相の不信任案をも提出した。驚いた
首相が事情を調べる間もなく、この不信任案も成立してしまった。首相のうつろ
な声が響く。「何故だ、何故なんだ」


 国会は解散され、選挙が行われた結果、民自党が第一党となり、党首、宗像治
郎が内閣総理大臣に選出された。