フジテレビとライブドアの争い

microititaro2005-02-14

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

              目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911


舞黒一太郎です。


 ●虎の尾を踏んだのか? ライブドア


 読売新聞の渡辺氏が、ライブドアプロ野球進出にあくまで抵抗したのは、世に言われている「どこの馬の骨かわからない者に、プロ野球経営をさせるわけにはいかない」のではなく、ライブドアやヤフーなどが、読売新聞をはじめとするマスコミの既存の既得権益構造を破壊する可能性を誰よりも知っていたからです。


 今度は、ライブドアニッポン放送の大株主になりました。その結果、形の上では子会社的存在であったフジテレビをいたく刺激しました。堀江氏の本来の目的は放送と通信の壁を破り、さらなる飛躍をめざしたものと思われます。


 ニッポン放送が、より大きな企業規模のフジテレビを、大株主として支配するこの株式資本原則を、堀江貴文氏は見逃さなかったわけですが、そこには落とし穴が存在しています。つまりニッポン放送の支配権を35%の株式収得で完全に得たのではありますが、他にも25%収得の大株主が存在し、かつ株主トップ10位以内の会社持ち株が75%を越えると、議決権の消滅、同族会社と見なされ上場廃止になるという規律があるのです。


 上場廃止となればライブドアニッポン放送の買収に要した費用の約800億円が紙くずとなり、一転してライブドアは窮地に追い込まれます。フジテレビはニッポン放送株を12%強持った上でTOBを仕掛けており、この幹事証券が8%、関連取引銀行合計のものが10%強であることから、上場廃止に持ち込む条件の25%の株式収得は確実なのです。ライブドア側ではそれに対抗してニッポン放送の増資により対抗する模様で、ドロ試合が濃厚となりました。


 放送と通信という二つの業務は現在、公益性を守る立場から、国家により法的に厳しく区分され、監視されています。しかしNHK問題でも分かったように放送免許制という、自由国家では例を見ない報道規制を政府はおこなっています。
 また通信でも、総務省はヤフーの携帯電話使用周波数解放要求を、既得権保護と見られてもしようがない拒否をしました。
 このように日本のマスコミは、中立では存在し得ないようになっているのです。


 インターネット、インフラの発展により、もはや通信、放送の壁はなくなりつつあり、その区別は困難な状況になっています。新聞、TVはインターネットで代用可能、もしくはそれ以上の存在となってきています。


 堀江氏の肩をもつわけではありませんが、ニッポン放送を、自分の都合を理由に上場廃止、放送中止に追い込むというフジテレビの対応は、電波の公共性という原則を踏みにじる行為そのものです。


 現時点から将来を眺めるとき、外国のハゲタカ企業によるものではなかったことをよしとしましょう。もしアメリカの企業に買収されたのであったなら、アメリカべったりの政府は要求を飲まざるをえず、これを突破口として、国民世論を支配しているマスコミの、親米路線一色の一里塚となるはずでした。


 これを縁としてマスコミの新ビジネスモデルの模索を考えるといった姿勢がフジテレビ、ライブドアの当事者と各マスコミ、政府、国民に望まれます。