あがりメンタルトレーニング法

microititaro2005-01-21

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

         目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911


舞黒一太郎です。


 ●「あがる」といいことがある?


 あがる」と失敗することが多くなるため、みな、どうしたら「あがる」とい
うことを防ぐかに腐心します。しかし「あがる」ということは悪いことばかりな
のでしょうか。そうではありません。「あがる」ことを冷静に分析し、それを積
極的に利用すれば、「実力以上の力を引き出す魔法の杖」になりうるのです。


 人の正常な心拍数は50〜60くらいですが、「あがる」とこの数値が倍以上
になることはめずらしくありません。健康な人にプレッシャーを与える実験をし
たところ、まず、心拍数が一気に低下した後、平常時よりも心拍数が上昇すると
いう結果が出ました。その状態で調べてみると、血液中の「副腎皮質ホルモン」
が激増していることが分かりました。
 この、副腎皮質ホルモンとは、脳下垂体から分泌され、肉体を急速に活性化さ
せる“やる気物質”なのです。


 人は適度なプレッシャー状態にある方が、エネルギー効率が良くなりパワーも
増大することが判明しました。つまり人間は、少しあがっていたほうが自分の能
力を最大限に引き出すことが出来るということです。


 人間は通常、判断力や思考力を司る顕在意識が支配しています。しかしそれと
は比べものにならない無意識の世界、潜在意識が存在しているのです。しかし誰
もそれを信じてはいませんが、その実例は(火事場の馬鹿力)によって知ること
が出来ます。寝たきりのおじいさんが、火事と聞いたとたん足が立ち、大事なも
のを持って、すたこら逃げることが出来た、という話で示される、不思議な力の
ことです。


 一般には、自分が持っている十の力の内、十の力を引き出すことが出来たら最
高の出来と思われておりますが、実はそうではありません。人間には誰でも十の
力であれば二十も三十もの潜在能力が存在しているのですが、その力を自由に引
き出す方法が分からないだけなのです。その有力なヒントになるのが「あがり」
なのです。


 ここで私がこのアイデアを思いついたきっかけとなった体験談をご紹介します。


 私は学生時代、某大学の空手部に所属していました。実力はまずまずだったと
思っていたのでしたが、幹部とまったくウマが合いませんでした。三年生の春、
母校は恒例の全日本選手権団体戦に出場することになりましたが、当然補欠と
され、応援席に廻されておりました。ところが入学当時お世話になった先輩が来
られ、幹部となにやら話をされているな、と思っていると、急に選手として出場
を命じられました。


 私はまったく心の準備をしておらず、武道館の試合会場の熱気とあいまって、
不安に包まれ、うれしさよりも困惑しきっておりました。それも悪いことに相手
は大会屈指の強豪ということで、こちらはメンバーでも最強の者を先鋒に据える
という奇襲戦法を取ることになりました。私はその次という順番です。ところが
です。先鋒はわずか15秒で一本負けしたのです。すぐに私が試合をしなくては
ならなくなりました。相手を見ますと1m90㎝は越えようかという巨漢です。
私は完全に「超あがり」状態に陥りました。


 ところが奇跡は起こりました。耳をつんざくような会場の応援の声や音がまっ
たく聞こえなくなったのです。そればかりか相手の動きがスローモーションのよ
うにゆったり見えるようになったのです。なぜこうなっているのか不思議に思い
ましたが、この状態なら小学生でも勝つことが出来ます。私は見事一本勝ちを収
めたのでした。


 あがると脳内で過剰な興奮や活性が生じ、通常情報の混乱が起ります。そのた
め、通常の判断力や思考力が低下し、頭の中が真っ白になるなどの状態が現れた
結果が、よいほうに出たと考えられます。


 二流の選手が一流に、一流選手が超一流になるには「潜在意識」にある能力を
引き出す方法を知る必要があります。その可能性を秘めたものが「あがり」であ
ることがおわかりになったことと思います。これをメンタルトレーニング化した
ものが「あがりメンタルトレーニング」なのです。