受験で合格する人、落ちる人

microititaro2005-01-20

 舞黒一太郎の優雅な電脳日記

         目次  http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911




 舞黒一太郎です。


●受験で合格する人、落ちる人


 いよいよセンター試験も終わり、大学入試は最終段階を迎えました。誰しも認
めるひとにぎりの超優秀成績者が合格するのは当然ですが、それ以外の者につ
いては些細なことで合否が逆転しています。


1,

 Aという受験者は、能力を十として、そのうちの五を発揮できれば合格すると
します。つまり相当優秀な生徒です。誰しも楽々と合格すると思っていましたが
結果は不合格でした。つまり普段はバリバリできるのですが、気が小さいという
か、弱気というか実際の試験になると普通にやっていたことができなくなってし
まったのです。極度の緊張で、「あがり」にとりつかれた結果です。


2,

 Bという受験者は、能力を十として、そのうち九を発揮出来れば合格できるラ
インでした。しかし彼は試験場の重圧に押されることなく、合格を果たしました。


3,

 Cという受験者は、能力を十として、そのうち十二を発揮出来なければ合格で
きない、つまり合格の可能性のない人でした。そころが不思議なことに合格を果
たしました。つまり「まぐれ」です。

 1,2,3の例の差は、この「あがり」克服の差によって起こります。「あが
る」とか「硬くなる」という悩みは、多くの人、団体が持つ 悩みです。特にハー
ドルの高い受験、大会などで起こります。


 ではどうすれば「あがり」を克服すればよいのでしょう。私はこの克服だけで
は十分でないと思っています。その理由は「あがり」による効能の研究が十分で
はないからです。これらを総合的にふまえ、「あがり」をコントロールすること
が重要なのです。


 上記の例で、1と2は以下の方法で克服できます。3については「あがりメン
タルトレーニング」法で説明いたします。


 あがる、あがらないといった状態は、脳内物質のノルアドレナリンとセロトニ
ンの量が大きく関係していることが分かっています。


ノルアドレナリン
 覚醒や興奮に大きく関係している神経伝達物質。不安や恐怖を感じると、多量
に分泌されるという特徴を持つ。このノルアドレナリンは、交感神経を活性化さ
せ、心拍数や血圧を高めるといった変化をひきおこします。そのため、”あがっ
た時”は、心臓の鼓動が早くなったり汗をかくなどの変化がおこるのです。また、
詳しいことはまだ分かっていませんが、あがりによってノルアドレナリンが多く
分泌されると、脳内で過剰な興奮や活性が生じ、通常情報の混乱が起ります。そ
のため、通常の判断力や思考力が低下し、頭の中が真っ白になるなどの状態が現
れるのだと考えられています。


セロトニン
 セロトニンは、一秒間に2、3回の周期で、常に分泌されている物質です。そ
して、このセロトニンは、ノルアドレナリンの分泌を抑制する働きがあります。
そのため、ノルアドレナリンによる交感神経や脳への作用が抑制され、あがりに
よって起こるさまざまな身体の変化も抑えられるのです。
 つまり、あがりにくい人とは、セロトニンの分泌が活発であるためノルアドレ
ナリンの分泌を未然に抑制するので、あがらないと考えられています。そして、
あがりやすい人とは、セロトニンの分泌量が少ないためノルアドレナリンが多く
分泌し、結果、あがってしまうのです。


 あがる、あがらないの差は、(セロトニン)の分泌量に原因があります。


 脳の神経伝達物質であるセロトニンには気持ちを落ち着かせ、心をリラックス
させる働きがあります。セロトニンは、タンパク質に含まれるトリプトファン
いうアミノ酸から作られます。そして、トリプトファンを脳に優先的に運ぶため
には、ブドウ糖の働きが必要です。
 しかもトリプトファンは体内ではつくれないため、必ず肉、魚、卵、牛乳など
のタンパク質を含む食品から摂取しなければなりません。一方、炭水化物である
ブドウ糖をすばやく摂取するには、消化吸収の速い砂糖が効果的です。ですから、
食事で肉や魚などのおかずを食べた後に、砂糖入りの甘いデザートを楽しむと、
トリプトファンブドウ糖を同時に摂取することができます。その結果、効率的
に脳内物質セロトニンが作られ、心が癒されます。
 逆にあがりやすい状態を作るには、ノルアドレナリンの分泌を促進させる行為
を行えばよいことになります。


 また人はストレスを受けると、赤血球が大きくなり,血液中の「副腎皮質ホルモ
ン」が激増します。その対処法としては鉄分や酸素を十分供給し、毛細血管の隅々
まで入り込む小さな赤血球を作ることが大切で、食事療法、腹式呼吸法などがあり
ます。


 同文書院発行の「トップアスリートのための心理学」によると、あがりの要因
は以下の五つであるとしています。


1,自律神経の緊張  胸がドキドキする・のどが詰まったような感じ
2,心的緊張の低下  落ち着こうとしてかえってあせる・注意力が散漫になる
3,運動技能の混乱  体が思うように動かない
4,不安感情     なんとなく不安・失敗しないだろうか
5,劣等感      相手のほうが強そう、相手がいやに落ち着いている。


 あがりやすい人の性格は、真面目で努力家であり、完全主義的傾向があるため、
他人に自分の醜態を見せまい、よいところを見せたいとする強い動機づけが働い
ています。一般に、動機づけは強ければ強いほどよい成果をもたらすといわれて
いますが、動機づけが強すぎるとかえって失敗してしまうことが多いのです。

 
 したがって、”あがり”を予防するには、第一に、動機づけを適切なレベルに
まで下げ、リラックスすることが大切です。すなわち「ダメでもともと」「失敗
したっていいや」ぐらいの開き直りと、ゆとりがほしいものです。


 そしてあらかじめ予行練習をしておくのが効果的です。つまり本番と似たよう
な状況での場数を出来るだけ踏むことが大切なのです。それで「慣れ」と「自信」
をつけさせるわけで、入学試験なら受験会社の模擬試験に参加、スポーツなら強
豪との対外試合、スピーチなら家族、友人の前での練習といったことで模擬経験
をおこないます。


 しかしこれだけの経験では不十分な場合有効とされている技法に、今はやりの
メンタルトレーニングがあります。これは頭の中だけでイメージトレーニングし
て、その実際体験の代行をさせる方法です。でもこれは言うはやすく、成果を実
際に出すのは結構難しいのが現実です。


 メンタルトレーニングで難しいのは、実際のトレーニングと同じことが、メン
タル上で再現できないためです。またイメージづくりは個人差が大きく、ある人
では成功した方法でも、他人ではまったく効果がないことが多いのです。


 私が実際に行ってみて一番効果が高かったのは、催眠療法技法によるものでし
た。