電灯線がユビキタスインフラに大変身

microititaro2005-01-15

 
 

 ○電灯線がユビキタスインフラに大変身


 舞黒一太郎です。


 その昔、電灯線を使ったインターホーンを製作したことがありましたが、いよいよ家庭の電灯線コンセントがインターネット端子に変身する時代が到達したようです。

 
 電灯線インターネットは、オフィスや各家庭に張り巡らされた100Vの「電灯線」をデータ通信用に使い、電源コンセントを信号コネクタとしてネットワークを構築するシステムで、周波数帯は 4〜20MHz を使用、通信速度は 2.5〜200Mbps で、ADSL の約3倍以上というものです。


 インターネット全盛時代を迎えたとはいえ、その恩恵を受けているのは都市部のみで、一番必要な過疎地では、コストの関係でその導入がなかなかむつかしいのが現実です。しかしながら電灯線はどんな所でも存在し、また無線を使わなくても各部屋にコンセントが豊富にありますので、世界中すべての地域がユビキタスの恩恵を受けることができるようになります。


 電灯線によるインターネットの技術はさほど難しいものではありません。わが国でも九州電力が一般家庭においてすでにテスト実験を進めており、昨年から北海道電力東北電力中国電力も参入しました。またメーカーサイトでも三菱電機、NEC、松下、アルプス電気などで開発が進み、最終段階を迎えています。


 海外でも欧州と米国の電力会社は1990年代から電力線を使ったインターネットデータ通信に取り組んでいます。その中にはペンシルベニア州でのプロジェクトも含まれており、あと少しで一般家庭でもプラグを射せばログインできる環境が実現する段階になっておりますし、イスラエルでは実用技術となっています。


 いいことずくめの電灯線ユビキタスですが、その問題点はアマチュア無線などに及ぼす雑音障害です。日本の場合は電波法により電力線に重畳できる信号の周波数が規制されており、10KHz〜450KHzしか利用できません。したがってこの対策技術の開発と、その部品コストが上乗せされるため、既成ものに比べ高くなるのです。


 ADSLは局からの距離で性能が極端にちがうため、ブロードバンドは「光ファイバー」にターゲットを絞られ、国策として進められていますが、ITの世界戦略として、この電灯線ITインフラも、太陽電池同様、国家技術として援助、助成すべき段階だと思います。