単純労働における競争力はもはや無い!

microititaro2005-01-12

 

 舞黒一太郎です。


 ○日本、単純労働における競争力はもはや無い!


 しばしば指摘してきたように、ITはあらゆる面においてグローバル化をもたらしますが、その結果もたらされる結末は平準化です。


 一例として、わが国の賃金は、単純労働については中国の25倍は高いという事実があります。したがって職能教育をちゃんとおこなって、現地生産が軌道にのれば、とても日本の企業では太刀打ちできません。ユニクロの成功は良い例です。また日本が自民党族議員の圧力でネギやシイタケに緊急関税をかけ、それに対し中国が自動車などに報復した過去がありますが、貿易しか生きる道のない日本が、このような事をおこなう事態、政治をになう自民党が政権を担当する能力がないことを端的に示しています。いくら自給率の維持をたてにしても、国際価格の10倍の商品を国の規制で守ろうとしてもそれは無理だし、無駄な抵抗です。もはや単純労働の世界で日本人の競争力はありません。


 家族制度の破綻した日本で、子供を持っての共稼ぎは不可能です。それをおこなおうとすれば、保育費がかさみ経済的に共稼ぎのメリットはなく、リッチさを求めれば子供は作らないか、せいぜい1人ということになります。しかも受験戦争が重くのしかかっている現状においては教育費がべらぼうに高く、その結果である少子化がもたらしているものは税収の減少、社会福祉の後退、年金制度の破綻など多岐にわたり、国家衰退の道まっしぐらの感があります。




 香港では年収は日本の5割から7割ですが、フィリピンとの協定で、お手伝いさんが月4万で雇えるため、ほとんど共稼ぎが可能で、その結果リッチであり、優雅で購買力も相当なものです。日本でこれをやろうとすれば10倍はかかり、それも質的にかなり低レベルです。子育て以外にお手伝いさんには老人の看護などをしてもらっており、もしこの制度が我が国に導入されれば、どれだけ助かる家庭があるかとつい思ってしまいます。日本の介護保険の悲劇的見通しを見るにつれ、うらやましさが先に立ちます。



 公共事業においても同じことが言えます。例えば高いといわれる韓国の下水道1mの付設コストは16万ですが、規制ずくめの日本はさらに75万と信じられない価格で工事されています。実際に工事をおこなうのは7次の下請け業者ということがザラなデタラメ受注が日常茶飯事になっているためで、当然国際競争力はありません。日本の失業者の受け皿といわれる建設労働者の1日発注労務費は2万5千円といわれていますが、末端では8千円以下になりますが、この数字すら中国人の1ケ月分の給料に相当するわけです。 


 日本の物価は国の規制により異常に高いのが実状です。単に高いだけでなく、国際競争力を大きくそいでいるため、早急に手を打つ必要があるものがずらりと並んでいます。(2倍も高い電力をはじめとするエネルギー、ライフライン、べらぼうな高速料金をはじめとする輸送コスト、まったなしの保険制度破綻の医療費など)


 またSEなどの最新技術者とておなじ運命になることは確実です。同等以上の能力を持つインド、シンガポール、中国、韓国の低賃金SEが爆発的に増大しているからです。

 こういったすべての現象は、単純労働、中レベル技能、技術面において日本にはすでに競争力はなく、今の生活は国家の障壁に守られているからかろうじて維持されていることを示しています。中流中流とのぼせている場合でなく、それどころかお金持ちでもお手伝いさんも持てない、若い人が安心して子供も産めない、お年寄りの年金を支える子供もいない、貧しい国への特急列車に乗っていることを自覚すべきです。


(貧しゅうて これほどの花 咲かせるか    山頭火