体の「ツボ」って短時間で移動するんです

 

 舞黒一太郎です。


 みなさん、(つぼー経穴、acupoint)のことは知っておられるとと思いますが、どこに,どの病状に効くつぼが存在し、どのように治療すれば効果があるかという現実的なことになるとちょっとわからない、という方がほとんどだと思います。


 つぼは東洋医学の永い歴史で受け継がれてきた、身体のバランスの診察点であり治療点です。私たちはお腹が痛ければお腹に手を当てたり、背中をさすったり無意識のうちに手を利用した「手当て」を行っていました。そのようななかで、特にある特定の場所をさすったり押したりすると、治療に役立ったことから、その場所を「つぼ」として捉えるようになったのです。

 
 また、つぼの理解が進むころ、全身に隈なく配られると考えられた気血とその流れを経絡として捉え、五行説や臓腑論を含みながらその概念が構築されていきました。そして、つぼを経絡の体外との連絡場所として整理し、経絡の調整役とすることで医療の中で利用するようになりました。

 
 つぼは経穴と呼ばれているとおり(点)であり、針、灸はそのポイントにはまったとき、素晴らしい効果をもたらします。ところが最初はよく効いた治療も、時間がたつと効かなくなってしまう場合が多いのです。その理由の大きな原因として(つぼは動く)という現象があります。この現象を知らないプロも多く、効かなくなったポイントに灸を治療し続け、無駄な治療費と無意味な(やけど)をさせている人も多いのです。


 つぼって動くんです。つぼはセンサーを使うことによって確認できますが、つぼを治療するとその場で1cmくらいは平気で移動したり、消滅したりします。そのためこの移動をキャッチし、追跡治療することで劇的な効果を得られる場合があります。(五十肩、ぎっくり腰など)


 つぼは動くという認識があれば、治療法自体を見直す必要があります。すなわち(点療法)から(面療法)への転換です。


 指圧は昔からある療法ですが、指自体が(面)であり、指圧した患者の反応を見ることにより、微妙なつぼ移動を知り、治療点を移動してさらに治療するため効果が高いわけです。


 針にも中国では梅花針というものがあります。これは針を、たとえば12本をしばって1本にまとめたもので、これだと面治療が可能です。この手法を家庭で簡単おこなうことができます。それは(つまようじ針)と呼ばれるもので、適当な本数のつまようじを輪ゴムでくくり、つぼにあてるだけです。


 この梅花針は素人でも結構効果があり、この点に注目したコノコ電機の小川氏が梅花針にバイブレーター効果をつけ、つぼ探査装置を付加した器具を(シンアツ針)と命名し販売されています。なぜかよくわからんが、よく効く健康器具としてロングセラーとなっています。


 腹痛によく効く民間治療として(タバコ灸)がありました。しかしこれは点治療であり、現在のようなタバコ受難時代には治療自体が難しくなっています。しかしよい方法があります。それはドライヤーを使ったドライヤー灸です。これは面療法そのものであり、自分で自分を簡単に治療できます。


 また手のひらを安静状態で痛い、または不快な部分に5分ほどあてても効果があります。まさに手当てですが、気持ちよさを手軽に体験できます。


 足の裏はつぼの宝庫ですが、自分でもむとつぼがわからないし、すぐ疲れてしまいますが、百円ショップで売っている木槌を買ってきて100回くらいたたいてやりますと疲労回復に効果があります。また同じショップで売っている樹液シートを貼って寝ると体の悪い毒素が出ていきます。体験されればその効果はその場で体験でき、自分にはこんなに汚いのかということがよくわかります。


 私は食事のまったく出来ない(点滴のみ)末期の胃がん患者で、腹部が石のように硬い人に面療法をしてさしあげた際、内臓が動き、その場でおにぎりが食べれたということがありました。当人とご家族の方に心から感謝していただきましたが、面療法の効果の素晴らしさに私自身びっくりしたことがあります。


 みなさん。つぼは動くということと、それゆえに治療は面療法が大切ということをわかっていただけましたか。自発動功を行う際にもこのことを知っているのとそうでないとでは、効果に雲泥の差が出ます。
 

 探検家ヘデインが中国の奥地でさまよえる湖、ロプノールを発見した際、そんな馬鹿なと言われたものですが、さまよえるつぼの話もそんなものかもしれません。