中国新油田発見と石油価格動向

舞黒一太郎です。


 清岡卓行氏が書いた「アカシアの大連」、この地から望む渤海湾は、反対方向
に位置する万里の長城からも見ることができるそうで、霧に煙るその風景はなん
ともノスタルジックです。この地で中国の国内消費量の80年分に相当する巨大油
田が発見されました。さらに新疆のタリム盆地でも原油が10億8000万トン、天然
ガスが590億立方メートル埋蔵されている油田、ガス田が発見されました。


 アメリカのブッシュ政権が起こしたイラク戦争の目的は、石油利権の確保であ
ったことは、日本人以外は誰でも知っています。未曾有の好況に沸く中国では、
エネルギー需要の急増に供給が追いつかない状態が続いており、2004年は前年比
約3割増の1億2000万トン前後の原油を輸入しました。この事情から、なにもなく
ても逼迫状態にあった石油市場は、戦争開始からジリ高を始め、やがて史上最高
値を更新するに至りました。


 これでブッシュ一族、ユダヤ系財閥が大儲けをしたのは事実ですが、あまりの
急騰から日本をはじめとする輸出国のコストが増大し、アジア諸国全体の景気減
退、またアメリカ本土自体でも石油暴騰による生活レベルダウンが始まりました。
そんな悪い状況下での、新疆のタリム盆地渤海湾における石油大鉱脈の新発見
は、中国の競争力をさらに上乗せする重要な武器となるのは確実です。そうなる
と中国は、再び石油輸出国と変貌し、オイル需給は大幅に狂いはじめ、石油市場
はダウン相場へと転換していくことでしょう。


 その影響下、1月5日の商品先物の東京ガソリン市場はすぐに大幅なダウン相
場となりました。このようにたった一つのニュース、情報で、国家規模クラスの
資金が大きく動くのは、今も昔も同じです。ただニュースソースの入手スピード
は原則的に大国家、大資本が断然速く、そのため投資家はこれに対抗する、なん
らかの手段、手法を独自に持つ必要があります。