環境を守るため、生かせ京都議定書

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 

 舞黒一太郎です。


○環境を守るため生かせ京都議定書、政府はマッチポンプから脱却せよ。


 世界の環境悪化を防ぐという目的で作成された京都議定書は、自国エゴ丸出しのアメリカのボイコットにより実現不能とみられておりましたが、ロシアが批准する見通しとなったため、にわかに現実の問題になってきました。この議定書は名前どうり、日本が主催国として主導的役割を果たし、京都で作成した歴史に残る立派な環境作成のための議定書です。

 ところが議長国でありながらアメリカのエゴに隠れて、日本もこの問題に対しサボタージュを決め込んできたのですが、今度は日本が矢表にたたざるをえなくなってきています。そこでその対策を行う軍資金として「環境税」を提唱しはじめました。


 この環境税は消費税を導入した、故竹下登氏が言い出したしろものですが、環境悪化の発生源である工場、石油関連、国民から、「環境を守るという崇高なスローガン」で税を取ろうというものです。環境税を払わない者、しぶる者は人類の敵となりますのでで、表だっての反対はむつかしくなるとの読みがあり、国はこの新税を積極的に導入する模様です。


 石油税収は現在5兆円強、国家収入の12%を越えています。しかしこの金額は国家による詐欺的行為により成り立っていることを知っている人は少なくなりました。といいますのも、この金額は1957年に成立した特措法を根拠にした、1974年の石油ショック時に、財源不足を補う目的で「2年間の暫定措置として」出された取り決めの約束を勝手に破り、現在まで継続していることの結果によるものであるからです。


 たとえばガソリン1リットルあたり28円の税が53円と、ほぼ倍増され、世界一高い値段となったわけですが、このおいしさに味を占めた国は、オイルショック後も、元に戻すことはありませんでした。さらにこれに消費税を二重課税し、現状は56円となっています。もし新たに環境税が導入されれば、これにさらに上乗せされることになります。


 京都議定書の目的である二酸化炭素ガスの減少は、その最大発生源である車に、既存の技術である省エネ車を全車に導入すれば半分になります。その可能性が夢物語であるならばいざしらず、すでにやれば出来る技術であることから、人類愛に燃える政治家、政府であればその導入に積極的に取り組むはずなのです。


 しかし使用燃料が半分になれば、確かに京都議定書の趣旨にはかなうけれども、税収入の観点からは致命的な減収となってしまいます。行政とすれば、この税収不足の時代に、この安定した収入元を、マイナスにいじることはまず不可能でしょう。そこで口では省エネ車への推進を言いつつ、実際はその実現が遅くなるような、「マッチポンプ行政指導」をおこないます。


 真に国民と国家の利益を考えるなら、やるべきことは明白です。しかしその結果減収となり、既存の体制が維持出来ないなら、体制の縮小をはかるのが本来の手法です。その指導こそが政治家の本来の使命なのであり、体制の権益代表である現在の政治と決別すべき点といえましょう。


 これはまさに政治家と官の改革であり、国民が小泉現首相に期待したことも、この1点でした。しかしあいもかわらず民の苦しみは理解出来ないようで、彼の改革は自党の改変と、民への苦しみ負担要請がすべてであるように見えます。情に薄く、(官ぬくぬくと、民に厳しく)の姿勢は何一つ変わっていません。


 表だって「世界の環境悪化を防ぐ」目的に意義を唱える人は誰もいません。しかしこれを隠れ蓑にして環境税のような自分達の都合の良いように誘導するやり方は、断じて許すわけにはゆきません。「みんなのため」と言いつつ、「自分のため」を行う卑劣な行為であるからです。