宮沢賢治「春と修羅」は般若心経そのものでは

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 舞黒一太郎です。



 宮沢賢治の作品の一つに、大正十三年に自費出版した「春と修羅」があります。
そもそも在世中はほとんど評価されることのなかった賢治でしたが、佐藤惣之助
が雑誌『日本詩人』の十二月号でこれを取り上げています。


 “─前略、彼は氣象學、鑛物學、植物學、地質學で詩を書いた。奇犀、冷徹、
それは他に類を見ない。─後略─” としました。


 もう一人の熱心な信奉者であった草野心平は雑誌『群像』の第三巻第五号に、
彼の詩は新感覚派的要素をも多分にもっていて、むしろそれよりも新鮮”、と評
しています。



春と修羅  宮沢賢治


わたくしといふ現象は
假定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち、その電燈は失はれ)


これって、まさに般若心経の「色即是空」の意訳そのものではありません