宇宙太陽光発電 これでエネルギー問題は解消!

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 

 舞黒一太郎です。


 日本が生き残る方法の模索の一つ 宇宙太陽光発電のレポートを送ります。前
にも少しふれましたが、この研究は京大をコアに開発が進められていますが、そ
れに与えられている予算は、皆さんが驚嘆するほど少額です。


 イラクで殉死した奥大使が見通していたように、アメリカが仕掛けた、アフガ
ン、イラク戦争の動議は民主化などというきれいごとではなく、「石油戦略」に
あることは、無脳派日本国民以外はすべて知っています。落ち目の日本にとって、
エネルギー対策はアメリカ以上に大切な生命線であるはずなのですが、政府レベ
ルの脱石油へ対応策はまったく体をなしておりません。しかしあれだけイラク
質の人たちや、拉致家族を批判した、うるさい愛国者やマスコミの人たちが、こ
の許されざるサボタージュに対してパッシングしたといういう話は、ついぞ聞い
たことがありません。


 官僚が食い潰している財投のお金は、道路や新幹線、不要法人&省庁延命など
に使うのではなく、新しい技術開発、たとえば砂漠を緑化し、耕地増大をはかる
鳥取大や、無公害発電である海洋発電の佐賀大学、生態改善に奇跡を起こすナノ
バブルの広島大、インチキ核融合と学会から見放された理論をよみがえらせた、
常温核融合の阪大、光ファイバーの100倍以上の速度をもつインターネット技
術の慶応大、そして今日紹介する人類のエネルギーへの心配を不要にする、無線
送電技術を応用した、宇宙太陽発電の京大など、こういう新しいインフラ作成の
ために使うべきなのです。



宇宙太陽発電所 


 電気エネルギーの需要は先進国でもなお上昇中である。ところが発電量の増加
は期待できない。化石燃料発電は酸性雨、温暖化ガス放出などのため、これ以上
の増大は望めない。しかも、40年に迫った石油資源の枯渇限界も近づく。一方、
原子力発電もその放射性物質の安全管理、放射性廃棄物の処理や立地問題などを
抱え大幅な伸びは期待できない。地熱発電風力発電、地上設置の太陽電池発電
などの新型エネルギー源は大型の基幹エネルギー源にはなり得ない。そこでクリ
ーンな大型基幹電力供給源となり得るものとして、宇宙太陽発電所(SPS)が19
68年に米国のピーター・グレーザーによって提案された。


 宇宙太陽発電所は宇宙空間で超大型の太陽電池パネルを広げ、太陽光発電によ
って得られる電力をマイクロ波に変換して地球や宇宙都市の受電所に送電する。
受電所ではレクテナと呼ばれる受電アンテナでマイクロ波から直流電力に戻す。
百万キロワット級原子力発電所の10基分の電力を供給できる1000万kW級のS
PSも可能である。
 マイクロ波送電の安全性はどうであろうか。SPSから送られてくるマイクロ
波ビームの電力密度は、一番強いビーム中心で23mW/c㎡、レクテナの端で1mW
/c㎡、レクテナ範囲外ではそれ以下の電力密度となっている。世界的にマイク
ロ波の照射安全レベルとされているのは1mW/c㎡以下であり、SPS構想では
受電サイト以外の地域ではこの安全基準をクリアーするように設計される。マイ
クロ波ビームの中心を仮に飛行機や鳥、または作業員が数時間ビームの中にいた
としても焼き鳥や墜落ということはない。


これだけ巨大な太陽電池を宇宙に打ち上げて用いるメリットは発電効率がずっ
と高いからである。太陽電池に入射する太陽光エネルギー密度も、大気反射のた
め、地上の太陽光エネルギー密度に比べ宇宙でのそれは1.37kW/㎡と、1.4倍強
い。また日照時間は宇宙では地上の4〜5倍あり、発電量を地上とSPSで比較
すると5.5〜7倍の差がある。
 SPSの概念設計はNASA/DOEの他に、1991-1993年に通産省中心に行わ
れた日本版SPSのシステムがある。両者はシステム設計だけでなく、社会波及
効果や経済性にまで検討した。日本版SPSでは建設費用の総額は、2兆3570億
円となっている。発電単価はSPSの寿命30年として23円程度/kWhとなって
おり、他の発電方式による発電単価(石油火力発電で約11円/kWh、原子力
電で約9円/kWh)と比べて2倍程度のコストで収まると試算されている。将
来、資源不足や放射性廃棄物処理による発電コスト単価の上昇は容易に予想され、
SPSは基幹電力源として十分競争力を持つ。
 米国のNASA(航空宇宙局)やDOE(エネルギー省)が1980年頃までSPS
研究を続けたが、その後のレーガン政権で宇宙研究の目標を火星に変更してしまっ
た。その代わり米国の研究に刺激を受けた日本の研究者が1980年代以降SPS研
究をリードしてきた。われわれは1980年代からSPS技術の要となるマイクロ波
送受電の研究に着手し、1983年には世界で最初のロケット実験(MINIX)を
行い、宇宙プラズマの中でマイクロ波電力ビームを親ロケットから子ロケットに
向けたマイクロ波送電実験に成功している。その後、マイクロ波エネルギービー
ムを制御するレトロディレクティブ方式の送受電システムの開発、マイクロ波
行機実験(MILAX)、地上定点間マイクロ波電力伝送実験などを成功させて
きた。米国は日本の研究に刺激され、低コスト化(7円/kWh)を目指した新
たなSPSプログラムを開始している。1997年から米国議会はNASAの要求額
を大幅に上回るSPS研究予算をつけ始め、SPS研究が再び熱い視線を浴び始
めている。


 日本が米国の先を進もうと思えば今決断するしかない。



 日本の決断 ―エネルギー小国から宇宙立国へ―

 世界中を循環または流動する食糧・資源・エネルギーが地球全体で供給不足と
り、その流れが減速もしくは停止すれば、日本が真っ先に痛手をこうむる。しか
し、世界各国も早晩、同じ運命を辿ることも明らかである。輸入に大きく頼る日
本の凋落は、世界の凋落の先触れである。世界中も数十年遅れて物資・エネルギー
・食糧の不足に直面するからである。皮肉にも日本はその意味で世界のさきがけ
となる。このことを自覚すれば、日本人こそ、地球の有限性に起因するこの根本
問題を真っ先に解決できる科学技術を推進すべきである。こうしてこそ、世界か
ら信用され、頼られ、見捨照られずに食糧・資源・エネルギーの適正な配分を入
手できるという安全保障を確保できるのではないだろうか。
 そのため日本人が、その繁栄を失わないためにもSPS建造事業に着手し、宇
宙への進出の第一歩に貢献すべきである。太陽系生活圏には太陽というエネルギー
工場があるため、次々とエネルギーが再生産されるし、資源は地球の50万倍以
上存在する。日本は現在の宇宙技術、SPS技術の水準からいえばそのリーダー
シップを取るチャンスがあり、また取らなければならない。


 日本はエネルギー小国という自らの弱点を理解し、宇宙立国となることでその
存亡を計るべきではないだろうか。今がそのラストチャンスかもしれない。十年
間に投資する総額3兆円弱のSPS建造費が、日本人の誇りを取り戻し明るい未
来と希望を与えるとすれば、銀行に投入された公的資金投入7.5兆円と比べ高
いか安いか、英明な国民(?)が判断すべきであろう。