五十肩を短時間で直す方法

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 
 舞黒一太郎です。


 若い方には無縁の話ですが、三十代の後半から四十肩、五十肩という症状を持つ方が多くなってきます。もっとも最近では10代の若者や、肩を酷使する野球選手選手などにも多いとの話を聞きます。女性の方ですと痛くて着物が着れなくなりますし、コックの方ですと重いものが持てないため、フライパンが振れないといった深刻な事態に陥ります。そこで多くの方は整形外科に行くわけですが、そこで行われる痛み止めの薬と、リハビリのみの治療ではなかなか症状がとれないのが普通です。しかし頑固な痛みも、大体1年くらい経過すると自然治癒することが多いのです。

 私の場合(真圧針)と呼ばれる器具を使って治療しておりますが、この四十肩の治療には即効性があり、たいていの場合30分も治療すれば手があがるようになります。その方法とは、

1,
肩胛骨の部分のツボをセンサーで捜し(10ヶ所くらいある)、マーカーで印をつけ、その部分を真圧針を10秒程度かける。


2、
腕を上げさせると少しあがるようになっている。


3、
再びセンサーでツボを捜すと、ツボが動いているはずであるので、再びマーキングする。

4,
2,3を繰り返す。

 これで30度くらいしか上がらなかった腕が、痛みはあるものの、120度くらい上がるようになります。患者さんは「痛い、痛い、ぜんぜん効かん」などと文句を言いますが、実際に上がるようになりました。まさに奇跡がおきています。


※真圧針は中国の(梅花針)を基に、ツボセンサー、バイブレーターを付加してコノコ電機の小川氏が商品化したもの。


 次に薬で直す方法をご紹介しましょう。


 その薬は胃薬のH2ブロッカー、商品名は「タガメット」、製造元は住友薬品、主成分は(シメジチン)です。この薬は文字どうり胃薬ですが、心臓疾患の治療薬であった(バイアグラ)がEDに画期的に効いたように、四十肩の患者がダガメットを服用すると、早い人で2日、たいがいの場合10日もあれば痛みが無くなることがわかりました。もちろん効果のある人、ない人が出ることは了承しておく必要があります。これは石灰沈着症に効果があったと考えられますが、四十肩の原因そのものが完全に解明されていないため、なぜ効くかいまいち不明です。他にも膝関節炎などにも効果があるとの報告があります。


資料


Cimetidine(タガメット錠)が効を奏した石灰沈着症

出典: 整形外科46巻11号(1995-10)1549
久留米大学医学部整形外科 講師 樋口富士男ほか)


 Cimetidine(タガメット錠)は、上皮小体ホルモンを介した作用機序と末梢のH2レセプターに直接作用する機序が考えられています。

 Cimetidineが有効な場合は数時間から3日以内にその臨床効果が現れます。ただ、すべての症例に有効ではない点(50%程度)を含め、今後さらなる検討が必要です。


*「Cimetidineが著効を示した関節周囲の石灰沈着症」

出典:整形・災害外科41巻No.1(1998)87
(香川労災病院整形外科 横山良樹ほか )

 抗潰瘍剤のCimetidineが、透析患者の石灰沈着症に有効という報告がある。透析患者以外の関節周囲の石灰沈着を伴った9例10関節に投与し良好な成績を得た。治療はステロイド間注等の併用は行わず本剤のみを投与した。疼痛のほぼ消失までの期間は平均7.8日、X線像上では1週間後に消失3関節、縮小4関節で、2週間後に縮小3関節であった。石灰沈着例の自然軽快例もあるが、本剤が関節周囲の石灰沈着の臨床症状の改善には有効な症例もあった。

 ※◎タガメット錠・▼細粒[内],▼タガメット注[注]★★★

【一般製剤名】シメチジン(U)cimetidine
【分類】H2受容体拮抗剤
【単位】錠:◎200・▼400mg, 細粒:▼40%
注:▼200mg/管
【常用量】800mg
【用法】分2(朝と眠前)、分4(毎食後と眠前)


【透析患者への投与方法】1錠24hr毎(CLcr=0〜4)(1)過量投与により見当識障害、意識障害、痙攣などの精神神経症状や顆粒球減少症が腎不全では発症しやすい。また腎不全患者では腎外クリアランスが62%低下する(Lam YWF: et al: Clin Pharmacokinet 32: 30-57, 1997)ためさらなる減量が必要かもしれない(5)


【その他の報告】25〜50%に減量(3)50%に減量し1日2回投与(4, 10)50%に減量(6)透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症による異所性石灰化に有効という報告(整形外科46: 1549-1554, 1995)透析患者の関節周囲の石灰沈着症に有効(整・災害41: 87-91, 1998)透析患者の高Ca血症に有効(Ann Intern Med 93: 573-574, 1980)という報告があるがメカニズムは不明である