冬のソナタに見る、弱い者が勝つ論理

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911


 
 

舞黒一太郎です。


 弱い者が強い者に勝つ方法として、日本の若者や、北朝鮮がよく使う「逆ギレ」
があります。「私を怒らしたら怖いんだぞ。キレたら自分でも自分を制御できず、
お前になにするかわからない。」という暴力的脅迫と、汚い言葉による罵声でそ
の場を切り抜けるという方法です。
 相手はびっくりして一時的にひるみますが、回数をこなしているうち手口がわ
かってしまうため、そのうち通用しなくなります。こうなると相手にされなくな
るか、本当に短絡して暴力事件となる場合も多く見られます。


 冬のソナタで、ヒロインのユジンの婚約者であるサンヒョクが、十年前に死ん
だ恋人であったチュンサンを忘れかねているユジンに嫉妬して、厳しく責めるシ
ーンがあります。追いつめられたユジンはサンヒョクにこう言います。


 「じゃあ私はどうすればいいの。私も苦しいからあの人を忘れたい。なのにこ
の眼があの人の姿を覚えている、私の心があの人との想い出を全部覚えている。
サンヒョク、私はどうすればいい。教えて」
 この逆襲にサンヒョクは反論できず、「後でまた話そう」という言葉を残して
その場を逃れます。


 この方法は冬のソナタ全編にしばしば使われています。不利で追い込まれた者
が相手に「じゃあ僕はどうすればいい。教えて」と言って逆襲し、責めていた相
手に、解決方法を振る方法です。責める者にとっさにその対案があろうはずもな
く、結果的に黙らざるを得なくなります。


 この方法が韓国でよく使われているのか、それとも作者特有のものかは私には
わかりませんが、なかなかうまい、したたかな方法です。