携帯電話の使用制限に対する疑問

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 

 舞黒一太郎です。


 最近電車や病院などにおいてパソコンや携帯電話の使用を禁止する所が実に
多くなっています。一般の人もそれが常識のように同調していますが、私は納得
出来ません。


 以前は飛行機や列車内でも同様の措置が取られていましたが、現在ではまった
く違います。むしろそれが出来る所にお客が集まるため、経営サイドでは現行機
をIT化する投資を進めています。


 病院内の携帯禁止についても同様な現象が起こってくるのは必然です。私は以
前電子機器の設計をしていましたが、携帯電話程度の電波のシールドが出来ない
医療器具設計者などプロとはいえません。IT化が一番必要なのに、一番インフラ
が遅れているのが病院で、禁止はそれを覆い被している隠れ蓑にしているだけの
ように思います。


パソコンも携帯電話も利用できるIT化された病院


えっ、病院なのに携帯電話を使ってもいいんですか?」Ntt東日本関東病院(東京
都品川区。以下、関東病院)で携帯電話が利用できると知った人たちが口にする
言葉だ。


急な入院を伝えたり、手術の経過を連絡したりというように、病院内でも電話
を必要とする状況は少なくない。こんな時にいつでも連絡がとれる携帯電話はあ
りがたく、関東病院では、手術室やICU(集中治療室)、病棟以外の場所では、携
帯電話の利用を特に禁止していない。

 電車内でよくアナウンスされるペースメーカーへの影響はどうだろう。97年に
厚生省(当時)が発表した「携帯電話などの使用に関する指針」では「装着部位
から22cm程度以上離すこと」とあり、この距離まで人が近づいて携帯電話をか
けることはほとんどない。同院でも実験を行っており、結果はほぼ同じと出た。



「病院内で携帯電話を利用する場合の問題は、医療機器への影響よりも使う人の
マナーにあります」と同院の落合慈之院長は語る。



「入院中に携帯電話によるインターネット利用も禁止していませんが、それが迷
惑となれば遠慮していただく。病院としてはすべてを禁止するのではなく、来院
者が必要とあれぱ利用できるような環境を整えています」


関東病院はNTT(旧電電公社)の職域病院だったが、86年から一般に開放され、現
在は他の病院と同じように厳しい競争にさらされている。生き残り戦略の1つと
して病院のIT化を打ち出し、2000年の建物新築を機に一気に進んだ。院内には光
ファイバーがはりめぐらされており、院内図書館のパソコン端末はもとより、病
室でもインターネットを利用できる。将来的には無線LANを利用したサービスも
検討中とのことだ。

ネットワークは通常の診療にも活用されており、予約受け付けから処方箋の発
行、会計に至るまで院内にある各端末でできるようになっている。受診の際には
受付番号が発行され、予約確認用の端末や待ち合い室前の表示板で確認でき、表
示や呼び出しも番号を使ってプライバシーを守るようにしている。

患者のデータは、地下に設置されたデータサーバーに電子力ルテの形で管理さ
れている。内科と眼科というように複数の科目を受診する場合も、1つのカルテ
から情報を得られ、医師同士が診察の参考にできるようになっている。電子力
ルテの参照は担当医師の名前とパスワードだけでなく、指紋認証も併用し、関係
者以外は閲覧できない仕組みだ。

同院ではこうした1丁化以前の97年7月から、医師や看護師、薬剤師をはじめ事
務部門スタッフなど、ほとんどの職員がPHS端末を携帯した。スタッフ間のやり
とりはもとより、外部への連絡やナースコールとも連動しており、患者からの呼
び出しがあった場合はPHSの液晶に名前が表示されるようになっている。

診療内容について質問したい場合も直接担当者を呼び出せるので、連絡がスム
ーズになり、さまざまな対応が迅速で的確にできるようになったという。とはい
っても一般の来院者には、携帯電話が禁止されていないことに抵抗があるようだ
。院内に設置している投書箱には、携帯電話の利用を疑問視する意見がけっこう
あると医療情報担当の平出晋課長は言う。


「一般の携帯電話とは違うという意味で、スタッフのPHSは黄緑色のストラップ
にしており、徐々に理解されつつあります」

病院のIT化は便利さと同時に、患者への配慮が大切と言えそうだ。