(官ぬくぬくと、民に厳しく)では郵政改革は不可能

舞黒一太郎の優雅な電脳日記

   
目次 http://d.hatena.ne.jp/microititaro/20040911



 

 舞黒一太郎です。


 小泉氏の構造改革の原点は、皆さんご承知のとおり、郵政事業の民営化です。赤字の郵便事業は規制で守られているだけのものであり、これはやる気があれば民間移行は短期間で可能です。反面、実質世界最大の銀行である郵貯、わが国最大の保険であり、毎年1兆円もの赤字を出している簡保、それに加えて、年金は財投という名のブラックボックスの原資となっており、きわめて複雑な問題を抱えています。国民から預かった大事な巨額の預金を一部の人が勝手に運用しているわけですが、バブルで黙っていても利益が出ていた頃と違い、10年も不景気が続いた上、投資先のほとんどが損得勘定のできない(官)であったため、巨額損失を発生させ、その額はねずみ算的に膨らんでいます。この事態を自転車操業で乗り切っているだけの今の財投は、どうにもとまらない地獄行きの超特急に乗っているようなものです。


 郵便貯金 255兆円、簡易保険  112兆円、国民年民・厚生年金 140兆円 合計 507兆円のものが資金として存在しています。このうち資金運用部資金へ443兆円をまわしています。この443兆円は、次のところに、融資・運用されています。(公庫 145兆円、公団 110兆円、地方公共団体 83兆円、特別会計 73兆円、特殊会社等 3兆円 )このうち328兆円が、特殊法人に融資されているのです。




 このうち、経営が行き詰まり、自己資金では、返済が出来ていない公団が27法人あり、その貸付総額は、なんと、183兆円にも上ります。そして特殊法人には、1.6兆円以上もの<補助金>という名目で国の一般会計から融資されており、その残高は、総額6兆円を越えています。 もしこの補助金がなければ経営破綻をおこし、この183兆円が不良債権化し、郵貯簡保がすぐ破綻することになります。つまり小泉氏が構造改革でこの補助金をゼロにすれば、たちどころにこの隠されているこの不良債権が表に出て、郵貯簡保、年金が破綻するか、国家が破産するわけです。


 (官ぬくぬくと、民に厳しく)の小泉氏がこのパンドラの箱を開けるとは思えません。民営化という衣を変えるだけで実態を残し、たちまちはなんらかの理由をつけて、先延ばしをするでしょう。